暮らしの歳時記 2月(如月)
麦踏 [ ムギフミ ]
 今ではもう見かけることも無くなりましたが、昭和40年代ころまでは、寒い時期の農村風景としてどこでも見られたものです。
  麦の芽は寒さにも強いので、伸びすぎを防ぐためと霜で浮き上がった根を押さえるために踏み押さえる必要があるのです。茎や葉の成長を一時止めて、根を充実させることが豊かな実りにつながっていくのだといいます。冬枯れの中の麦踏み風景を懐かしむ年代はもう少数派なのでしょうか。
麦踏みや寒さに堪へて小刻みに(西山泊雲)
  寒風のすさぶ畑での麦踏みは辛い農作業のひとつです。冷たくなる足はついつい早くなっていくのでしょう。小刻みにという表現が的確で風景と共に風の音さえ聞こえそうです。
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photo by Kinji Fujii