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聖夜
 街にクリスマスのイルミネーションが輝き、デパートの玄関にはクリスマスツリー。近頃は住宅地だって通りに面した庭や窓辺を美しく飾る家もあって、道行く人の目を楽しませます。一軒だけでなく隣近所で話し合っているのでしょうか、それぞれに工夫してちょっとした名所になっている一角だってあるほどです。
 キリストがベツレヘムの厩で降誕された日というのは実際には不明なのだそうですが、ローマ教会で12月25日を降誕の日と決めたとか。本来は日差しがこの日から長くなる冬至を太陽再生として祝う祭りにキリストの誕生を重ねたといわれています。キリスト教の大切な祝祭日として前夜からミサが行われます。クリスマスの前夜はクリスマス・イブですがこれが聖夜。クリスマスツリーは聖樹でクリスマスケーキは聖菓としてこの時期には欠かせない大切なアイテムです。日本では宗教とは関係なく、行事として楽しんでいます。贈り物が好きで贈り物文化といわれるほどの日本人ですから、クリスマスプレゼントを見逃すはずはありませんよね。白いひげのサンタクロースがプレゼントをいっぱい積んだトナカイに乗ってやってくるなんて、夢があってロマンチックで、いくつになっても楽しいものです。
 日本人は宗教に節操が無いといわれます。クリスマスを祝って一週間もしないうちに神社へ初詣しても平気なのですから、訳が分からないと言われても仕方ありませんが、考えようによっては、とっても素敵なことかも知れません。いろんな宗教を時々に使い分けるなんて、精神的柔軟性の証拠のようなものですから。さまざまな神々が集う国だと自信をもってもいいのではないかしら。
 だから、クリスマスも大いに楽しんでみましょう。
暖炉やストーブがあれば、それだけも雰囲気が盛り上がりますが、たとえコタツを置いた部屋だって、赤と緑のクロスをかけるだけでクリスマス。そこにろうそくを灯してみては如何でしょう。なんか聖夜って感じになってきますよね。和ろうそくをお土産に買ってきたりいただいたりしていても普段にはなかなか使いませんが、クリスマスにはとっても似合います。たとえば、手燭にろうそくだなんて和風のクリスマス。ろうそくの灯りは暖かくゆらぎがあって、いつもの部屋が違って見えます。人の表情だってそうです。それに案外明るいものだってご存知でした?
今は時期ですから、お店にはさまざまなキャンドルスタンドが並んでいます。洋風のものでも趣味とセンスで和の暮らしに取り入れてみましょう。
 テレビと電灯を消してろうそくの灯りで過ごす聖夜は、サンタクロースを信じていた頃の心を思い出させてくれそうです。慌しい年末の小休止としてほっとひといきつきましょう。たとえプレゼントが届かなかったとしても。
     

季節のテーブル