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2007年
3月 弥生

この夕 降りくる雨は彦星の 早漕ぐ舟の の散りかも (巻10=2052)  詠み人知らず

 7月といえばまず思い浮かぶのが七夕です。ただ、この時期は梅雨の最中でなかなか晴れないのが残念といえば残念。本来なら太陰太陽暦での行事ですから一ヶ月ほど早すぎるのですね。万葉集にも七夕の歌が133首残されていますが、季節は秋。俳句でも七夕は秋の季語です。
  七夕と書いてたなばた。どうみても七と夕でたなばたと読むのは無理な気がします。彦星と織姫が一年に一度だけ逢えるというロマンティックな物語ですが、これは、古代中国から伝えられた物語です。また、「乞巧奠(きつこうでん)」といって裁縫などの技術の上達を願うという風習ももたらされ、七夕行事のもとになっているようです。でも七夕の行事全てが中国からの伝来というとそうでもないようです。
  日本書紀には天孫ニニギノミコトが機織をする美しい「棚機女」と出会う場面があります。「棚機女」は“たなばたつめ”。コノハナサクヤヒメでニニギノミコトと結婚します。棚機女は神の衣を織っていたのです。衣は魂を包む、神聖なもの。棚機とは川に張り出した棚の上で機織をすることに由来するといわれています。もともと日本に古くから伝えられた棚機つ女の信仰が中国の伝説と、結びついて七夕行事になっていったのでしょう。
  棚機つ女が織る衣はどんな神への捧げ物だったかというとそれは祖霊だという説があります。やがてやってくる神とは約一週間後のお盆の先祖だろうというのです。現在では月遅れで8月にお盆を迎えますが、本来なら旧暦7月の行事。七夕はお盆と深く結びついたものというのです。私たちの感覚ではお盆は仏教行事で七夕とは全く違う行事なのですが、民俗学的な考察からすると、年中行事に見られる二重構造が絡むとか。一見外来の行事に見えながら、日本古来の信仰が根底に流れているというのです。その証拠として挙げられるがお盆の挨拶。昔、もしくは田舎には「お静かなお盆でおめでとうございます」「けっこうなお盆です」という言い方があった、もしくは残っているそうです。お正月と同じようにおめでたいものがあったということ。
  日本人は先祖を祖霊神として祀ってきました。お正月にやってくる歳神、田植えの時の田の神など。七夕は農作物の収穫を感謝する大切な行事であったともいわれます。米以前の麦、粟、稗、豆や芋などです。
  昔からの行事に中国の伝説を織り成しながら千年も伝え継いでの七夕。
  万葉の人々はどんな思いで七夕の夜を過ごしたのでしょうか。
  歌の意味は今日、この夕べに降ってくる雨は彦星が急いで漕ぐ櫂のしずくなのでしょうという想像力に富んだものです。
  ところで、もうひとつ。七夕にはたとえ少しでも雨が降るほうがいいと言い伝えられているようです。神様がやってくる日だから水を浴びて心身を清めようということから、井戸を掃除する、竹やぶで朝露を浴びるといいなどの風習が各地に伝わるとか。乞巧奠の巧みを願うということ、から里芋の葉におりた朝露で墨をすって字を書くと上達するともいわれます。
  祖霊神を迎えるため、心身を清め、住居を掃除し、庭や玄関に水を撒く、つまり水とは深いつながりがあるというのです。
  日本にはいたるところに神々が宿り、人々は折々に祈りを捧げてきたのですね。七夕というロマンティックな行事の中に潜む祈りにも目を向けてみましょうか。

  • 麦酒

メールにもちょっと時候のあいさつ

今年の梅雨明けはいつ頃になるのでしょう。洗濯物が乾かなくて、困ります。

雨が降れば鬱陶しいし、晴れると暑くて・・・。楽しみは夏休みの旅行だけ。

枝豆と冷たいビールがおいしい!このために働いている私です。

少し前までUVカットのための手袋して運転するなんてと思っていたのに今年、ついに買ってしまいました。何か安心です、日差しが強くても。

朝から暑くて散歩に出かけるのもいやになります。日の出前に行けばいいのでしょうが、とても無理です。と言うわけで夜に徘徊することに。

白いタッセルを見つけたので、食器棚の取っ手に飾ってみました。ここも夏向きになった感じです。

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