暮らしの歳時記 7月(文月)
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蚊帳 子どもの頃の夏になると部屋には蚊帳が張られました。部屋の中にもうひとつ部屋ができたようで、とても楽しみなものでした。蚊帳へ入る時は、身をかがめ、蚊帳の裾をぱたぱたと払いながら入るのです。つまり、蚊を中へ入れないための蚊帳作法といったところでしょうか。
  夏の風物詩だった蚊帳もこのところ見かけることもありません。蚊帳が何のことだか知らない人だって多いことでしょうね。クーラーも網戸もなかった頃、蚊帳は必需品でした。夜も戸を開け放って自然の風を通しつつ過ごしていたのですから、余程のどかな時代だったようです。蚊帳には淡い青から白へのぼかし染めや緑色に赤い縁というものが多かったように記憶していますが、どうだったのでしょう。中に入ると海の底にでもいるような感じがしたものです。
  中世からの面影を残す奈良町には、今も蚊帳屋さんが残っています。お店には蚊帳生地を使った暖簾や布きん、コースター、テーブルクロスなどと共に蚊帳が吊られていました。
薄青から白へのぼかし染めの蚊帳は、何か現代アートのようにも見えました。美術館に吊って中に作品を並べたり、パフォーマンスしたりといったこともできそう、なんて思ってしまうのは蚊帳の美しさのせいかしら、それとも蚊帳の存在が遠くなったせいかしら。麻の固く、粗い感触は夏には気持ちのいいものです。テーブルクロスにすると透ける感じが涼しげで、2色を組み合わせると思いがけない演出ができそう。
奈良はかつて蚊帳の一大生産地だったといいます。奈良町では道を歩くと織機の音が聞こえていたとか。今でも蚊帳は生産されているようですが、多くはクーラーを不要とする東北や昔を懐かしむ人々の道楽、高級旅館のひとつのインテリアとして使われてとか。蚊帳を吊って懐かしむほどの余裕はありませんが、せめてこの夏、この肌触りを身近に置いておきたいと思いました。
冷奴:ヒヤヤッコ
青蛙:アオガエル
麦酒:ビール
桜桃:サクランボ
青田:アオタ
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季節のテーブル
涼感あふれる蚊帳生地のファブリッククロス
「夏」
  朝から強い日差しが照りつける夏。紫外線対策も大事なことですが、食欲の落ちる季節の食卓にはしっかり気をつけたいものですね。できるだけ涼やかな演出と簡単料理を心がけましょう。暑さで食欲のない時に火を使う台所での作業はなかなか大変。こんな時はデパ地下の出来合いを並べて、食卓の演出に力を入れてみるのもアイデアです。
  今回見つけてきたのは蚊帳生地で作られたテーブルクロス。肌触りと透け感がとても涼しそう。麻で織られた蚊帳は空気を最大限に通しながら、蚊は入れないという粗い織り目が特徴です。麻ならではのシャリ感と透け感は他の布にはない大きな魅力。洗っても乾きが早いし、干すときにちゃんと伸ばしておけばアイロンも糊も不要という手軽さも嬉しいですね。

グレー、緑、藍などに染めた蚊帳生地がテーブルクロスとして販売されていますが、特別に白生地のままのものも作っていただきました。2色を重ねて使う時、白は大変重宝な色なのです。好みに合わせて色を組み合わせてみましょう。1日あれば白地も作っていただけるようですよ。
“夏の食卓”ですからやはり海を連想して“青”をテーマに決めました。テーブルクロスは白と藍色を重ねてみましたが、この織り目の粗さでとても軽やかな感じです。重なり合った部分のモアレ模様も思いがけない演出でした。
  花器として買っていたガラスでできた巻貝形の器をワインクーラーに見立て、シャンパンをしっかり冷やします。日本手ぬぐいをナプキンとして竹製のランチョンマットと組み合わせると何となくジャパネスク。やはり浴衣のイメージで涼しい感じがします。それに、ひざ掛けとしてもたっぷりの長さが重宝だったのも新発見。ちょっと大きめのビアグラスにはスープ、ガラスのお皿にはスモークサーモンサラダやビーンズ&南瓜のサラダ、生ハムのパスタなどテイクアウトしてきた料理にライムの薄切りやハーブを飾って「はい、できあがり」。手作りは野菜の牛肉巻きだけながら、ちょっといい感じ。お花は夏らしく緑の葉ものをたっぷり使いましょう。エメラルドウエーブというフリルがかわいい葉を中心にアンスリュームを組み合わせ、彩りとしてデルフィニュームの花だけを飾ってみました。夏にはできるだけ涼しげなものを心がけてみましょう。朝顔や槿などほんの1日かぎりのお花を飾ってみるのも楽しいでしょうし、アンスリュームなど日持ちのする花を選ぶのも方法です。短い花の命が最も短い季節ですから、いっそ花を使わず、グリーンものだけでも却って爽やかな演出ができるものです。庭のハーブや葉物だって立派に主役を務めますよ。花留めにビー玉やガラスの小石を使って水面を見せるのも清涼感が溢れますね。
  食欲だってテーブルコーディネイトで随分違うものだと思います。工夫してみては如何でしょう。

Special Thanks
熊谷賀代子「花工房 KIKI」


メールにもちょっと時候のあいさつ
今年の梅雨明けはいつ頃になるのでしょう。洗濯物が乾かなくて、困ります。
今年は省エネでできるだけエアコンを使わないようにと団扇を買ってきました。風鈴とよしず、打ち水でどこまでやれるでしょうか。
朝から暑くて散歩に出かけるのもいやになります。日の出前に行けばいいのでしょうが、とても無理です。と言うわけで夜に徘徊することに。
枝豆と冷たいビールがおいしい!このために働いている私です。
少し前までUVカットのための手袋して運転するなんてと思っていたのに今年、ついに買ってしまいました。何か安心です、日差しが強くても。
白いタッセルを見つけたので、食器棚の取っ手に飾ってみました。ここも夏向きになった感じです。
今年は台風の当たり年とか。たくさん来るとしても可愛い位のものでありますように。子供たちは学校が休みになると楽しみにしているみたいですが。
炎暑、酷暑、大西日、盛夏、熱暑、炎熱…。暑い言葉を並べて夏を満喫してみました。あー、秋が待たれる!
今年の浴衣を買いました。いろんな夏祭りを探して出かけるつもりです。一緒してくださいね。
去年、有名な大花火大会に行きました。きれいなのはいいのですが、道路の大渋滞と人ごみでくたくた。今年は庭で線香花火を楽しむことにしております。
雨が降れば鬱陶しいし、晴れると暑くて・・・。楽しみは夏休みの旅行だけ。
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