九月は季節が変わる時です。月の初めはまだまだ真夏の続きだし、かといって朝夕は思いがけなく涼しくなったりもします。暑さ寒さも彼岸までの言葉通り、どれほどの酷暑もお彼岸の頃にはひと段落つくものです。九月はまた行事の多い月でもありますね。長かった夏休みも終わり、登下校の子どもたちを見かけます。今年のお月見は九月十八日、お彼岸のお墓参りもこの月のこと。そうそう行事にはしたくありませんが、台風もやってきます。最近では八月や十月にも台風がやってきて、九月の季語とばかりは言えなくなったみたいです。
高市郡明日香村 飛鳥寺を望む風景
夏の疲れが出るのも九月。夏のままのタオルケットで寝ていて、朝方の涼しさに目を覚ましたら、すっかり風邪を引いていたりなんて。
ちょっと気をつけたい季節ですね。うかうかしていると八月の気分を引きずったまま疲労感と忙しさだけが記憶に残ってしまいそう。
自分だけの時間を作って心の余裕を作りましょう。そんな時、手触りのいいクッションがあれば、重宝します。
そこで見つけたのが古裂をつなぎ合わせた和のクッション。着物地の端切れを丁寧に縫い合わせて面白い色柄模様。絹生地ですから、手触りも優しく、古い布を合わせているのに以外なほどモダン。
古裂の持つ温かさは秋の気配に嬉しい感触です。子どもの頃、着せられていた晴れ着に似ていたり、母の着物に似ていたり、小さな布は思い出も運んでくれます。
着物は高価なものですが、三代にわたって着ることができるし、最後にはこうして古裂としても新たな使い道もあるのですね。しかも古臭くなく、お洒落になるなんて、着物地はなかなかの実力者。「どんなに染みがあっても黴が生えたとしても着物だけは捨てないで」と言っていた人がいました。洗ってアイロンかければ、結構いろいろなものができるのだそうです。古い着物を畳みなおすだけで癒されるといった人もいました。
九月、箪笥に入れたままの着物を虫干し代わりに取り出してみようかしら。