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2006年
1月 睦月
 昨日と同じ朝に違いはないはずなのに、お正月の朝はやはり清々しいものです。新春とはいうものの寒さはこれからが本番、路地にも街角にも鋭く冷たい風が抜けていきます。しかし、光にはどことなく明るさを含み、日照時間も少しずつながら長くなって、暦だけではない“春”を感じるのも確かなこと。
 

初春まず酒に梅売る匂ひかな

 芭蕉が当麻を訪れた時に詠んだ句です。造り酒屋でしょうか、初春に酒を売る際、梅の一枝を添えたのかも知れませんね。新春を迎え、酒を求めて来る客へのせめてものお礼心でしょうか。粗品などではなく梅の一枝というのが何ともうららかで美しい雰囲気です。酒屋に漂う酒の匂いに梅の気高い香りがいかにも初春ならでは。一幅の絵のようです。
  俳句で新年といえば冬の中にくくるのではなく新年という特別の季節と捉えられています。これは季節というより、行事を主とした季節とでもいうのでしょうか。陰暦から陽暦に変わって、季節にずれが生まれましたが、新年と新春とは分かちがたく春を寿ぐのです。初春はもとより、今朝の春もお正月のことを差しているのですね。春着といえば、春に着る着物ではなく、お正月の晴れ着というわけです。新年に関するものは四季の中でも特別の季節として冬からは独立しているといえるでしょう。

奈良の俳人として知られる
津田清子は
春着を詠んだ句があります。

春着の子黒瞳いきいき畦を跳ぶ

 お正月の晴れ着を着せてもらった女の子はきっとかしこまっておとなしくしていたのでしょう。しかし、時間が経つととてもじっとはしていられなくなり、親戚や近所の子と一緒に遊びに出て、すっかりもとのおてんばっ子に。晴れ着もなんのその、畦を跳んでいるのですね。しとやかぶっていた女の子の瞳はいきいきと楽しそう。そんな子どもたちを見守る大人のやさしい目。のどかで懐かしいお正月の風景はどこへ行ってしまったのでしょう。いきいきとして瞳を子どもたちにはぜひ取り戻して欲しいものです。

  • 左義長
  • 若水
  • 松の内

メールにもちょっと時候の挨拶

お正月も瞬く間に過ぎ、いよいよ2007年も本格的にスタートしました。でも体はまだお正月気分を引きずったまま。

寒い日が続きますが、陽射しはちょっとはるめいてきましたね。何か明るい感じがします。

初詣の長い行列に並んですっかり疲れました。でも、毎年の行事ってなかなか止められません。こうして、今年もお参りできたのが幸せってことでしょうか。

おせち料理ってあんまり好きではなかったんだけれど、よく見ると健康食なんですね。それに年々美味しく感じられてきて、日本のお正月もいいなあなんて。年かしら?

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